国際交流
2022年度 アメリカ東海岸コース(4年生 松田小雪さん)  

松田小雪さん(法学部4年)

 今回の海外インターンシップでは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン市に滞在しました。約一週間という短い期間でしたが、民間の合意形成研究所であるCBI、ボストン市議会、協定校のUmass Boston、ボストン市庁舎を訪問するなど、非常に充実した一週間でした。初めてアメリカに滞在する中で印象的だったのは、社会の課題解決に取り組む人々の生き生きとした姿でした。

 最初に訪問したCBIでは、その活動内容について話を聞くことができました。CBIは、ある政策によって利益を受ける人々や組織と、不利益を被る人々や組織の間に立って両者の対立を合意形成に導くといった、公共の問題を解決するための民間の組織です。具体的な例として、地方に空港を建設する際に必要な合意形成や、その難しさについてお話を聞くことができました。日本では、例えばダム建設における行政vs地域住民といった対立構図はよく見られますが、そこに力のある民間の非営利団体が入り、合意形成を手助けするという形は見たことがなかったので驚きました。

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(CBI事務所)

 ボストン市議会では、議会の傍聴と市議のタニア議員へのインタビューを行いました。タニア議員は、アフリカ系移民というバックグラウンドを持つ女性議員です。議員の支持者の中には黒人貧困層の人々が多く、自らの経験や強みを生かしながら、議場で発言する姿に目を奪われました。弱い立場の人々、生活の困難に直面している人々の声を拾い上げ、それを議会という「公」の場で社会課題として取り上げることができるという点に、アメリカがデモクラシーの国と言われる所以をみたような気がしました。日本では、移民出身の議員や女性議員は国際的に比較しても圧倒的に少ないとされていますが、そのために、個別的な問題が社会的な問題として共有できていないという課題が生じているのかもしれないなと思いました。

海外インターンシップ松田さん01
(タニア議員事務所)

海外インターンシップ松田さん01
(タニア議員)

 ボストン市庁舎では、ボストン市経済機会包括局の森川翠副局長にインタビューを行いました。アメリカ中間選挙の期間中だったこともあり、ボストン内部での、感情的な対立を含む政治的な対立をどのようにまとめていくのかについて尋ねました。森川さんは「safe space」を確保することの重要性について述べられました。どんな意見であっても、排除や攻撃から人々を確実に守る場を提供することが「市」の役割であるとおっしゃっていたのが強く心に残りました。

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(森川さんとの対談)

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(ボストン市庁舎)

 海外インターンシップを通して、日本では「なくて当たり前」だと思っていたものが、ボストンには当たり前に存在するのを見て驚きました。また、ボストンに行き、現地の人とコミュニケーションをとる中で、自分が何を話すことができるのかがとても限られていることを痛感しました。今後は、自分の興味関心のある分野の勉強に取り組み、それを海外の人と共有できるような力を身につけて行きたいです。