国際交流
過去の留学体験記1 櫻木由香里さん 2009(平成21)年度卒業

マザー・テレサの施設におけるボランティア活動に参加して

 私は、熊本大学の国際奨学事業という制度を利用して、貴重な経験をしました。
 経済発展で世界での存在感を急速に高めつつあるインドは、一方で格差の拡大が懸念されています。
 その国の生活環境や貧困の実態、文化について肌で体感することができました。
マザー・テレサの施設のシスターたちが病人や孤児などに奉仕を続ける地、インドの巨大都市カルカッタ、生活臭溢れるその街にあるマザーハウスで、人道的活動の意義を考え、貧者や弱者と自分との関わりを見出すためのボランティア体験をしました。
 ニルマル・ヒリダイ(死を待つ人の家)での食事の配膳、洗濯、掃除、排泄補助などをを行いましたが、初めは精神的にきつかったです。しかし、シスターからの指示を待つのではなくその時々で自分にできることを進んでやらねばなりません。多くの外国人ボランティアが、各々の目的を持ってマザーハウスに集まるので、毎日ボランティアのメンバーは違うのですが、活動を共にすることですぐに一体感が生まれました。
 インドでは衛生面の問題が一番気にかかりました。冠水や浸水は日常的に発生しています。
上下水道の整備が急務の問題であると感じました。また、インドの人々と実際会って、同じ空気を吸って生活してみると、貧者に対して同情の気持ちを抱いていた自分が惨めに見えてきました。彼らは私よりも力強く生きていたからです。そして、マザー・テレサの、自分を貧者と同じ目線で考えるという生き方には強い感銘を受けました。
 今後は、日本人という基準ではなく、現地の人の基準で、個々の世界を考えたいと思いました。
この奨学事業によって新しい世界と出会うことの素晴らしさを知りました。その地の人に触れることにより、自分の人生を考えることができます。そして、一瞬の出会いは永遠の宝となります。