教員リレーエッセイ

2011.11.22  <教員 O>

 大学の教員はどんな仕事をしているのか?自分が高校生の時は全く想像がつかなかった。大学生の時は、「好きなことを勉強してときどき講義をして給料をもらえるなんてすてきなお仕事」に思えた。
 だから、というわけではないが、大学の学部(4年)を卒業して大学院なるものに進学した。あわよくば、大学の教員になれるかも、などど根拠のない期待を抱いて。学部を22歳で卒業した人でも大学院の修士課程(2年)と博士課程(3年)を修了するとしても27歳になっている。ただし、27歳で修了できる保証もなければ、ましてや就職の保証などはなかった。同級生は給料をもらい結婚するのに、無給で将来の展望は開けなかった。
 大学院に進学した途端、激しく後悔した。頭の悪い自分が居るようなところではないのだと云うことに初めて気がついた。しかし、既に退路はなかった。あともどりなどできなかった。勉強するしかなかった。
 運良く大学教員として就職できた。端から見るのと体験するのとでは大違い。実にさまざまな仕事が待っていた。自分の「好きなことを勉強をしてときどき授業をして給料をもらえるなんてすてきなお仕事」の実態がこういうものだったとは。おどろいた。
 大学教員の端くれだから、勉強して「論文」というものを書いた。高校生が使う教科書で1行書かれているかどうかに関するものだ。高校生が1行で習うかもしれないことを大学教員は100頁以上を使って、ああでもない、こうでもない、とぐだぐだ書き散らすのだ。すこし、変わり者、かもしれない。大学教員は。