学生リレーエッセイ

2013.02.14  <大日方ゼミ>

 この季節、こつこつと響くブーツの足音は耳に心地よく、胸がほっこりします。
 さっきまで私はあそこにいて、今はここにいる。私の存在を足跡が教えてくれます。それはとても温かい事実です。
 時間の流れとともに私は歩みます。でもそれだけでは嫌。いつだって足跡が深く、大きくなっていくことを確かめながら進んでいきたい。ゆっくりとした速さでいい、前方向でなくてもいいから、なだらかに高く、高く。そしてここまで来ましたが、未来はいつでも不透明にぼやけたもの。そうわかってはいても、今ここから見える私の未来は前代未聞なほどに霧の中です。
 足踏みをするなと叫ぶ焦りが、私の歩幅を疑います。もう少し経ち、白い吐息が冷たい空に消えていく頃には、その先に私のしっかりとした歩行計画が見えるでしょうか。しかし、動かすのは目ではなく手でなければなりません。図面をせっせと描いたり消したり。私はよく時間に解決を任せ問題を放り投げますが、今回ペンを握るのは私であって、彼は私と相対しています。今私は昇っているのか、どのあたりにいるのか。彼は耳元でカチコチと不安を煽りますが、うつむかないようにしなくてはと自分に言い聞かせます。
 現在自分がどれほどの高さにいるのかを確かめられるのは今ではない。花の香りが辺りに広がり、さらには空に咲く頃にまた自問してみることにします。
 その頃の私は何をしているのか、答えは私の中にしかないのでしょう。